脆弱性が増えている中、企業の情報セキュリティを向上するために、脆弱性管理の重要性が高まっています。
ではどういう風に管理すれば良いのか?そもそも脆弱性管理って何なのか?脆弱性診断とは何が違うのか?この記事では、脆弱性管理に関連する疑問を解消するために、基礎知識や基本のプロセスから詳しく解説します。
また、脆弱性管理のプロセスを楽にするツールも紹介するので、ぜひ最後までお読みください。
脆弱性管理とは?
脆弱性管理は、企業や組織が使用しているソフトウェアやシステムに存在するセキュリティ上の欠陥、すなわち「脆弱性」を特定し、その影響を分析して適切な対応策を講じる一連のプロセスを指します。このプロセスには、脆弱性情報の収集、必要な脆弱性情報の特定、脆弱性影響の評価、脆弱性の対処とその進捗管理が含まれます。
脆弱性管理を実施することによって、システム内に存在する潜在的な脆弱性を明らかにし、適切な対処をすることで企業におけるセキュリティリスクを軽減できます。
脆弱性診断との違いとは?
脆弱性診断とは、企業や組織のシステムにおけるセキュリティ上の欠陥(脆弱性)を特定するプロセスです。企業のシステムやアプリケーション、ネットワークなどを包括的に調査し、その時点での脆弱性の有無を確認し、セキュリティ状態を評価します。
脆弱性を検出することは同じですが、目的が異なるので脆弱性管理と脆弱性診断は全く異なるものとなります。
脆弱性診断はあくまでも診断を実施した時点におけるシステムのセキュリティ状態を確認するプロセスですが、一方、脆弱性管理の目的は企業システムのセキュリティを維持することです。脆弱性管理を通じて企業システムに影響する脆弱性情報を常に収集し適切に対処することで、システム全体のセキュリティを保ちます。
脆弱性管理の必要性とは?
脆弱性の数が年々増加しているため、脆弱性管理の必要性が高まっています。情報処理推進機構(IPA)が発表した調査によると、2023年10〜12月において18,663件の脆弱性が報告され、10年前より倍増しています。
脆弱性の増加に伴い、企業がサイバー攻撃に遭うリスクも高まっています。サイバー攻撃によって情報漏えいやデータの改ざんなどの直接的な被害だけでなく、損害賠償、社会的信用の失墜、サービスの停止などの間接的な被害も引き起こす恐れがあります。
企業をサイバー攻撃の被害から守るためには、自社システムに影響を与える脆弱性情報を常に収集し適切な対処を行うこと、つまり脆弱性管理が必要不可欠です。
脆弱性管理のプロセス
ここでは脆弱性管理における5つのプロセスを詳しく紹介していきます。
1.脆弱性情報の収集
脆弱性管理の第一歩として、毎日のように発見・公表される新しい脆弱性情報を積極的に集めることが大事です。
幅広く脆弱性情報を収集するのにさまざまな情報源を活用することをおすすめします。例えば下記の4つです。
- 脆弱性情報の注意喚起サイト:情報処理推進機構(IPA)、一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)など情報セキュリティに関する情報を発信するサイトから最新の脆弱性情報を得られます。
- 脆弱性情報データベース:JVN iPediaのような日本のデータベースだけでなく、アメリカの国家脆弱性データベース(NVD:National Vulnerability Database)やCERT/CC(Vulnerability Notes Database)などのデータベースも参照することでより包括的な脆弱性情報を収集できます。
- 製品ベンダーのホームページ:使用しているソフトウェアやハードウェアの製造元が提供するセキュリティ情報やパッチリリースの告知は、特定の製品に関連する脆弱性情報を得られます。
- 有識者のブログやSNSの投稿:セキュリティ研究者や専門家が公開するブログ記事やSNSの投稿も、新たな脆弱性や攻撃トレンドに関する最新情報の収集に役立ちます。
また、脆弱性情報を自動的に収集するサービスもあります。脆弱性情報の収集に手間を感じていればそういったサービスの活用もおすすめです。
2.必要な脆弱性情報を特定
たくさんの脆弱性情報が公表される中、自社に影響しないものもあります。自社に影響する脆弱性を特定するために、自社のIT資産とそのバージョンを把握する必要があります。
まず、ITシステム内に使われるハードウェア(サーバ、ネットワーク機器、PCなど)やソフトウェア(OS、アプリケーション)などをすべて洗い出します。そして、それぞれのバージョン情報とパッチの適用情報を確認します。
その後、収集してきた脆弱性情報と照らし合わせて、影響を及ぼす可能性のある脆弱性を特定します。
3.脆弱性の影響度を評価
ステップ2で特定したすべての脆弱性に対処するのがベストですが、リソースには限りがあるので現実的には難しいです。そのため、リスクの高い脆弱性を特定し優先的に対処することが重要です。
リスクの高い脆弱性を特定するには、脆弱性を適切に評価する必要があります。脆弱性を客観的に評価する指標としてCVSSスコアがよく使われます。
CVSS(Common Vulnerability Scoring System、共通脆弱性評価システム)はNIAC(National Infrastructure Advisory Council、米国家インフラストラクチャ諮問委員会)が作成した脆弱性の評価システムです。日本のIPAも一部の構築に参画しているので、CVSSは信頼度の高い指標といえます。
CVSSスコアを確認し、自社システムの実際の状況を加味して脆弱性を評価する必要があります。攻撃されると機密情報の流出になるのか、事業への支障が発生するのか、などの観点も考慮すると脆弱性をより正確に評価できます。
4.脆弱性の対処修正
リスク評価の結果に基づいて調整した優先順位に応じて、脆弱性の対処修正を行います。自社への影響度の高い脆弱性を優先的に対処し、低リスクの脆弱性の対処を後回しにします。
脆弱性の対処方法として、ベンダーが提供するパッチやアップデートを適用することが普通ですが、パッチがまだ用意されていない場合、代替策を検討する必要があります。例えば、セキュリティ設定の変更や影響を受ける機能の一時的な無効化です。
また、リスクが低い脆弱性に対しては、脆弱性を受容する、つまり修正を保留し監視を続けることも1つの選択肢です。
5.脆弱性対処の進捗管理
脆弱性に対処したあとに、記録を残して対処の進捗をしっかり管理することが大事です。どの脆弱性が対処されたか、どの対処が進行中か、そして未解決のまま残っている脆弱性も記録として残して、企業内の関連部門や意思決定者にも共有することが必要です。
脆弱性の対処進捗をしっかり管理することによって、対処漏れ防止をはじめとする人為的なミスを防ぐことができます。また、似たような脆弱性が発生した際にも、過去の対処方法を参考に迅速に対応することができます。
脆弱性管理をしっかり行うことで、脆弱性対処プロセスの効率を高め、継続的なセキュリティ強化が可能です。
脆弱性管理のツールとは?自動化のメリットも解説
脆弱性管理ツールは、脆弱性管理の一連のプロセスを自動化することで、脆弱性管理における手間や作業工数を大幅に削減するツールです。最新の脆弱性情報の収集から、リスク評価、対処方法の選定、進捗の追跡まで、脆弱性管理の各段階をツール内で行うことができます。
脆弱性管理ツールでは新たな脆弱性情報をリアルタイムで収集するので、脆弱性対処の検討がより早い段階でできるため、セキュリティの向上につながります。
また、システム構成やパッチ情報などもツール内で管理できるので、対処すべき脆弱性の特定と脆弱性の評価もスムーズにできます。
さらに、脆弱性の対処履歴はすべてツール内に保存するので、企業内や組織内での可視化や上層部への報告もしやすくなります。
脆弱性管理ツールの活用によって、情報システム部門における脆弱性管理の作業負荷を大きく軽減でき、企業のセキュリティ体制の強化を実現できます。
脆弱性管理なら脆弱性管理ツール「SIDfm」|5つの特徴
脆弱性管理を自動化するならSIDfm(エス・アイ・ディー・エフエム)がおすすめです!SIDfmを利用することで、自社環境に必要な脆弱性情報だけを受け取り、対応が必要かどうかもすぐに判断できるようになり、担当者の業務工数が大幅に削減できます。
SIDfmの特徴①:信頼できる幅広いセキュリティ情報を日本語で提供
SIDfmは、さまざまなセキュリティ情報源からの脆弱性情報を集約し、セキュリティ専門家の解説付きで日本語で提供しています。合計900種類以上、46,000件以上の脆弱性情報を提供しているので、圧倒的な情報の量と質を誇ります。
信頼できる情報を提供するため、OSやアプリケーションがリリースした情報だけでなく、CVE情報やJVN、JPCERT/CC、US-CERTなどの脆弱性データベースやセキュリティ機関の情報も合わせて確認し提供しています。
さらに、SIDfmの脆弱性情報はすべて日本語で提供しています。特に海外ベンダーが提供する脆弱性情報は英語表記となる場合が多く、読み解くことが大変だと感じる担当者も少なくありません。
SIDfmではそういった海外ベンダーの情報もセキュリティ専門家によって日本語に翻訳してから提供しているので、英語に不慣れな担当者でも、最新の脆弱性情報を正しく理解できます。
SIDfmの特徴②:影響する脆弱性情報を自動的に特定
SIDfmを利用することで自社に影響し得る脆弱性情報を自動的に特定できます。自社システム(ホスト)の構成情報を事前に登録することで、SIDfmが関連する脆弱性情報を自動的にマッチングします。
自社システムに影響する脆弱性情報をSIDfmで確認できるので、すべての脆弱性情報を手動で確認する必要がありません。SIDfmを利用することで効率良く必要な脆弱性情報を特定できます。
SIDfmの特徴③:CVSSと独自のSRI指標でセキュリティリスクを自動的に判定
脆弱性情報の評価もSIDfmで自動的に行います。SIDfmの脆弱性評価は、CVSSスコア(共通脆弱性評価システム)を参照するうえ、利用環境や製品の特性などの影響を加味したSIDfm独自の指標「SRI」も活用しています。
CVSSスコアとSRIの併用によって、自社システムに沿った脆弱性のリスクを判定できるため、脆弱性評価にまつわる業務工数を大幅に削減できます。
SIDfmの特徴④:脆弱性の対処方法もわかりやすく日本語で提供
SIDfmでは脆弱性情報の詳細だけでなく、必要なパッチやバージョンアップ、ワークアラウンド情報などの対処方法も詳しく解説しています。ベンダーサイトから情報を探し出す必要がなくSIDfmで情報を確認するだけで迷わずに脆弱性に対処できます。
対処方法に不明点や疑問があったとしても電話やメール経由でセキュリティ専門家で構成されたSIDfmのサポートチームに相談・確認できるので、素早い問題解決につながります。
もちろん、脆弱性の対処方法もサポートも日本語で対応するので、言語の壁の心配はありません!
SIDfmの特徴⑤:脆弱性の対処状況を一元管理
SIDfmは、脆弱性の対処状況を一元的に管理する機能を備えているので、脆弱性対処の進捗の追跡が簡単になり、対処が必要な箇所や完了した対処の把握もしやすくなります。また、脆弱性の対処漏れをはじめとする人為的なミスもSIDfmの利用でなくすことができます。
さらに、脆弱性の対処状況を明確に記録しているので、組織内での情報共有や上層部への報告もしやすくなります。SIDfmで情報システム部門のコミュニケーションの効率化につながります。