セキュリティ対策において、最近「SBOM」という言葉をよく耳にしていませんか?2021年のアメリカ大統領令や2023年には日本経済産業省が策定した導入の手引きによって、SBOMに注目が集まっています。
この記事では、SBOMの基本的な概念から導入メリット、そして重要性までわかりやすく解説します。
SBOMとは
SBOM(Software Bill of Materials)とは、ソフトウェア部品表のことで、システムやアプリケーションの構成コンポーネントの一覧を整理した文書です。
各コンポーネントの情報をはじめ、それぞれの依存関係やライセンス情報などの情報もSBOMに記載されるため、SBOMを利用することでオープンソースソフトウェア(OSS)の管理や脆弱性の把握、またセキュリティリスクの管理がしやすくなります。
SBOMが注目される理由
近年、企業のセキュリティ対策強化に向けた取り組みの一環として、SBOMが大きな注目を集めています。特に、アメリカと日本の政府による取り組みが、SBOM普及を後押ししています。
ここでは、それぞれの取り組みについて詳しく解説します。
SBOM普及のきっかけは2021年のアメリカ大統領令
SBOMが世界的に注目されるきっかけとなったのは、2021年5月12日に発行されたアメリカのバイデン大統領による「国家のサイバーセキュリティの向上に関する大統領令(EO14028)」です。
この大統領令の第4章では、ソフトウェアサプライチェーンにおけるリスクを低減するため、デジタルインフラの透明性を高めることが求められました。その具体的な手段としてSBOMの活用が示されました。
さらに大統領令に基づいて、アメリカ政府はセキュリティ強化の観点からSBOMによる管理が実施されていないITシステムやソフトウェアを採用しない方針を明確に打ち出しました。
この背景からアメリカを中心にSBOMの整備が義務化され、SBOMの普及が急速に進んでいます。
日本において経済産業省がSBOM導入の手引きを策定
世界の流れを受けて、日本でもソフトウェアサプライチェーンの複雑化とセキュリティ脅威の増加に対応するために、経済産業省が2023年7月に「ソフトウェア管理に向けたSBOMの導入に関する手引」を策定し公開しました。
この手引きでは、SBOMの導入メリットをはじめ、SBOMに関する誤解と事実をまとめています。また、SBOMの導入にあたって実施すべきポイントも環境構築・体制整備フェーズ、SBOM作成・共有フェーズ、SBOM運用・管理フェーズの3つのフェーズに分けて詳しく説明しています。
経済産業省の手引きの公開により日本においてもSBOMへの注目度が高まってきました。
SBOMの導入メリット3つ
SBOMを導入することで、企業にとってどういうメリットがあるのでしょうか。ここでは、SBOMの導入メリットを3つ紹介します。
脆弱性管理における工数の削減
企業のセキュリティ対策の中で非常に重要な脆弱性管理。脆弱性管理とは、ITシステムやソフトウェアに潜む脆弱性を発見し、その影響を分析し適切な対策を講じるまでの一連のプロセスのことです。適切な脆弱性管理により、企業のセキュリティリスクを大幅に軽減することができます。
ただし、自社システムに使用しているコンポーネントを正確に把握できていない状態では、適切な脆弱性管理を実施することが難しいです。そもそも、どのソフトウェアの脆弱性情報を収集すべきか、どの脆弱性を優先的に対応すべきかわからないからです。
SBOMを導入することで、利用中のソフトウェアコンポーネントが明確に可視化され、脆弱性の発見と対策がスムーズに実施できます。
ライセンス違反のリスクの軽減
ライセンス違反とは、ソフトウェアの提供ベンダーが定めた条件や規約の範囲を超えて、そのソフトウェアを利用することです。
ライセンス違反により、提供ベンダーからソフトウェアの使用差し止めや違反期間の使用料の請求を受けることがあります。さらに、著作権法違反の可能性があるので、懲役や罰金などの刑事罰の対象にもなりかねません。
このようなリスクを回避するために、ライセンス管理を徹底しライセンス違反のリスクを抑えることが重要です。SBOMを導入することでライセンス情報が可視化されるため、ライセンス管理がより楽にできます。
開発における生産性の向上
システムのコンポーネントの脆弱性やライセンスに関する問題など、開発におけるさまざまな問題をSBOMの活用によって事前に把握できます。そのため、対策や対処方法の検討も早い段階で実施できます。
突発的な問題が発生するリスクを抑えることができるため、開発遅延を未然に防ぐことができ、開発における生産性の向上につながります。また、突発的な対応を減らすことで開発にかかるコストを削減する効果もあります。
SBOMに基づいた脆弱性管理が重要
ITサービスやソフトウェアを導入する際は、提供ベンダーにSBOMの提示を求めることが重要ですが、それだけでは十分ではありません。SBOMを活用した継続的な脆弱性管理も必要不可欠です。
SBOMに基づいてソフトウェアの構成を正確に把握し、それぞれのコンポーネントの脆弱性情報を能動的に収集し、影響度に応じて適切な優先順位を付けて対処することが重要です。
また、同じコンポーネントが複数ソフトウェアに使われる場合、脆弱性の影響が大きくなる恐れがあるため優先的な対応が必要です。
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さらに、SIDfmはSBOMに対応しており、SBOMファイルをインポートするだけで、含まれているソフトウェアの脆弱性を自動で追跡します。新しい脆弱性が発見された場合は、システムへの影響度を評価したうえで管理者に通知が送られるため、担当者が手作業で脆弱性情報を探して確認する必要がなくなります。
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